絶妙な恋愛模様と過激な描写で話題になった、思春期時代のバイブルが電影少女

中学生という思春期真っ只中、普通に読んでる少年向けマンガで

ちょっとしたエッチな描写があるだけで凄く興奮してた記憶があります(笑)

愛読していた週刊少年ジャンプではそんなシーンがあるマンガは殆ど

無かったんですが、そんな自分を十分過ぎるほど満たしてくれたのが

電影少女」でした。「ウイングマン」が自分より少し上の世代の方中心

でしたが、アラフォーの自分にはこちらが桂正和作品の代表作な感じです。

主人公の心理がまさに自分そのままで感情移入できた作品

出版社:集英社   作者:桂 正和

主人公はモテない高校生で、好きな子がいるんですがまともに会話することもなく、

夢や妄想をふくらませるだけで何も出来ないだらしない男の子です。

まあほとんどがそんな中学生や高校生だと思うのですが(笑)、

自分もその中の一人だったわけで、主人公の深層心理にすごく共感を覚えて

自分のことのようにこの作品を読んでいました。

思春期の男の子の気持ちを凄く的確にとらえた作品だと思います。

この作品は一応、二部構成になってまして「あい編」と「恋(れん)編」に

分かれています。「あい編」が終わって、この作品も終わると思っていたら

「恋編」が始まって少しびっくりしました。ただタイトルが「電影少女」だから

異なるビデオガールでストーリーが複数あってもおかしくないんですよね。

そういう視点からいくと、ビデオガールを変えることで長期連載を見越して

いたんでしょうか?

残念ながら「あい編」でお腹一杯になった読者が多かったからか、「恋編」は

短く消化不良で終わってしまいました。

あらすじ(あい編)

主人公の弄内洋太はパッとしない冴えない高校生で、クラスメートの早川もえみに

恋しています。告白出来ずに悩んでいたところ、親友の新舞貴志が協力して

気持ちを確かめようとしたら、もえみは貴志の事が好きだと判明しました。

貴志は洋太の事もあり相手にしなかったが、結果もえみを傷つける事に。

自分のせいでもえみを傷つけたことに涙した洋太の前に、突然ビデオショップ

「GOKURAKU」が現れます。導かれるように店に入った洋太は一本の

ビデオを借ります。このビデオこそが、再生するとテレビから女の子が

出てくるビデオガールでした。洋太とビデオガール・天野あいとの生活が

始まり、洋太の恋愛模様が大きく変わっていきます。

登場人物

第一巻より

弄内 洋太(もてうち ようた)

この作品の主人公で、「モテナイヨーダ」と言われてからかわれている16歳の

冴えない高校生です。好きな子がいますが告白出来ず、最初は名前すら

覚えてもらえていませんでした。好きな子の好きな人が親友だと分かり、

その恋を応援することで仲良くなるという非常に複雑で辛い立場が続きます。

第一巻より

天野 あい(あまの あい)

洋太がGOKURAKUからレンタルして、再生したビデオガールです。壊れたデッキで

再生したため、ガラ悪い性格になって現れます。また本来ビデオガールは

愛を否定する為に存在していたのですが、これも壊れたデッキのせいで

あいは愛という感情をもつビデオガールとなりました。

第一巻より

早川 もえみ(はやかわ もえみ)

洋太の好きな人です。いかにも美少女という感じで、冴えない洋太にとって夢や妄想では

楽しく会話出来ても、現実はまともに会話出来ない存在という、思春期な中学生の心を

思い出させる関係ですね(笑)。初めて楽しく会話出来て、可能性あるかもと思った矢先、

もえみの好きな人は親友だと聞かされショックを受けることに。

第一巻より

新舞 貴志(にいまい たかし)

洋太の親友にして、もえみの好きな人です。貴志自身は凄くモテますが、過去に恋愛で

ひどい目にあったことがあるらしく、誰とも付き合おうとしません。そのエピソードは

最後まで出てこなかったですね。貴志については謎が多く、もえみと何故付き合ったのか

後半酷いことをするのですがその部分が少し曖昧になってます。

酷い奴なのか良い奴なのか不明です。

第四巻より

仁崎 伸子(にざき のぶこ)

中学の頃から洋太のことが好きで、追いかけて同じ高校に入学した後輩です。洋太が留年

したためクラスメートに。あっけらかんとした元気な性格で洋太にせまり、付き合う事に。

ただタイミングが悪く、記憶を無くしたあいが現れ、気持ちが揺れ動く洋太に

振り回され傷付いていく可哀想な子です。

第六巻より

山口 夏美(やまぐち なつみ)

洋太の幼稚園の頃のお友達で一緒に遊んでいた思い出があります。洋太が伸子と別れた日に

再会することに。その後洋太の家の庭にテントを建てて生活することになります。

ビデオガールの戦いに巻き込まれたり、自身の恋愛でも洋太たちと大きく関わってきます。

第五巻より

神尾 まい(かみお まい)

もう一人のビデオガール。最初は可愛い性格でしたが、あいを消す任務に

変わってからは暴力的になります。磁力を放電させて攻撃してきます。

このキャラの過激な描写が色々話題になったらしく、初版のみで描かれていた

内容が書き換えられているようです。自分は貴重な初版を持ってますw

第三巻より

おじいさん

元々GOKURAKUの店員でしたが、洋太とあいの愛の為に造反したことで

追放されることに。GOKURAKUの存在は人々の愛を守ることだと思っていたが

愛を否定していることに気づき、洋太とあいも潰されてしまうと思い、

命をかけて二人のために戦います。

第二巻より

ローレック

ビデオガールあいの生みの親です。名前が出るのは最後の方で、それまでは

コートの男と呼ばれてます。愛を完全否定しており、不完全なビデオガールの

あいが愛の感情を持つことが許せず、消してしまおうとします。

過激な描写がありながらも純粋な愛の形を描いた作品

この作品は過激な描写のあまり、有害図書に指定されたり、初版以降は

絵が差替えられたりと色々話題になった作品でもあります。

週刊少年ジャンプという小学生も読む雑誌の中で、確かに行き過ぎた表現が

あったかもしれません。実際、自分は中学生でしたが当時

意味がよく分からない箇所が何か所か有りました。

過激な描写を期待して読んでた自分が居たのも事実ですが、

決してそれが有害とは全く思いません。

中学生くらいならそういう気持ちがあるのは当然の年頃ですし

その描写が犯罪につながる訳ではないと思います。

テレビもそうですが、過剰に反応しすぎな感じですね。

差替え版を見たことはありませんが、中学生の気持ちを

鷲掴みにしたこの作品にケチをつけてほしくなかったですね。

自分は子供も普通に読める作品だと思ってます。

でわでわ♪