テニスで多額の借金返済するために奮闘するマンガがHappy!

「20世紀少年」や「YAWARA!」で有名な浦沢直樹氏の、テニスを題材にした作品、

Happy!」。大ヒットした「YAWARA!」の次の連載作品で、アニメ化もされて

柔道ブームを起こした前作に比べて印象の薄いイメージがありますが、人間関係や

多種多様な登場人物等、非常に良く構成されており、テニスの技術的な描写も殆どないので

テニスを知らない人でも楽しめる、読めば最後はタイトルどおり誰もが

ハッピーな気持ちになれる作品です。

突然多額の借金を背負い地獄のどん底から始まるストーリー

出版社:小学館  作者:浦沢直樹  ※リンクは完全版

主人公の海野幸は幼い弟たちの面倒を見ながら生活する高校3年生でした。両親は既に

亡くなっていて貧しく小さなボロアパートながらも楽しく生活していました。

ある日二人の男が現れて、二ヶ月前に姿を消した兄が保証人として抱えた借金の

返済を迫ります。その額はなんと2億5千万円。デパートへの就職が決まっていた

幸でしたが到底返せるわけもなく、借金取りの男からは風俗で働くように迫られます。

風俗で働かなければ兄の生命保険で返済してもらうと脅され、悩む幸に一つの

ニュースが飛び込んできました。女子テニスの世界女王であるサブリナ・ニコリッチが

年間賞金で2億5千万獲得との事。これを見て幸は高校を退学し知り合いの先輩である

鳳圭一郎に会いに、超名門の鳳テニスクラブに向かいます。

借金取りはニュースを見てテニスを始めようと思った素人と思っていたため、実力のある

選手と試合をさせて諦めさせようとしますが、幸は国体優勝候補の賀来菊子と試合をし

圧倒します。それもそのはず、幸は3年前に彗星のごとく現れて全日本ジュニアで優勝した

ことのある実力者でした。わけあってテニスを辞めていましたが、借金返済の為テニスに

復帰してプロになろうと決心していたのでした。

ただ鳳圭一郎の母、鳳唄子からは嫌われておりテニスクラブへは出禁を言われる等、

イバラの道が続きます。

登場人物

一巻より

海野 幸(うみの みゆき)

この作品の主人公です。3年前にテニスの全日本ジュニアで優勝するも、両親の死を

きっかけに学費の安い公立高校に進学しテニスも辞めましたが、2億5千万という

普通では返せない借金を返す為、プロテニスプレーヤーを目指すことに。

父がテニス界の大物である鳳唄子と因縁があった為、唄子には嫌われており

一時はテニスコートに入ることすら許されませんでした。

一巻より

鳳 圭一郎(おおとり けいいちろう)

幸が成明学園中等部のテニス部にいたときの先輩で、現在は大学テニスNo.1です。

幸のことを想っており何かと力になろうとしますが、母には逆らえず頼りない存在に。

実力はあるものの、プレッシャーに弱い性格からプロ転向を反対されますが、

逆境にも負けない幸の姿を見て、自分も頑張ろうとプロ転向を決心します。

一巻より

賀来 菊子(かく きくこ)

高校テニス界とトップクラスの選手ですが、突如現れた幸にコテンパンにされた時に

熱くなれるものを感じ、友情以上の感情を持って周りからイジメられる幸をサポートします。

ただのやられ役には終わらず、幸のライバルである蝶子とも善戦します。

一巻より

竜ヶ崎 蝶子(りゅうがさき ちょうこ)

鳳家と並ぶ財閥でテニス界に影響のある竜ヶ崎家の娘で、アマチュアテニス界の

アイドル的存在です。本性はとても最悪で、どんな手段を使っても試合に勝つ、

欲しいものは手に入れるという性格で、貧乏な海野幸を完全に見下しており

ありとあらゆる手を使って陥れようと試みます。

いろんなマンガを読んできましたが、嫌いなキャラとして三本の指に入るかも

しれません(笑)

一巻より

鳳 唄子(おおとり うたこ)

圭一郎の母で鳳財閥の会長を勤めており、自身も有名なテニスプレーヤーだったこともあり

テニス界にも大変影響力を持っています。海野幸の父である海野洋平太がコーチであったが

振られた経緯がありその娘である幸を嫌っています。最初はプロになれないように圧力を

かけていましたがライバルの竜ヶ崎に対抗するために幸を利用しようとします。

一巻より

桜田 純二(さくらだ じゅんじ)

高利貸しで幸の借金取りです。最初はみゆきを風俗に働くことを強要していましたが、

プロテニスプレーヤーとして必死に頑張る幸に、かつてJリーガーを夢見ていて

儚く散った自分の姿を重ねるようになり、陰ながらサポートするようになります。

一巻より

サブリナ・ニコリッチ

女子テニスの世界女王で、年間賞金額が2億5千万というニュースを見て、幸が

テニスを再び始めるきっかけになります。初登場の紹介では、18歳にして

全英オープン3連覇、全米オープン2連覇となっていましてまさに最強です。

また最初は笑顔の描写が多かったのですが、徐々に無表情のキャラクターに

変わっていきます。

人間性を強く描いたテニス素人でも楽しめる作品

連載当初はテニスは殆どやったことがなかったんですが、楽しく読めていました。

テニスを趣味でやるようになって改めて読んでみても、専門用語は殆ど出てこないことが

分かりました(笑)。素人が分からなそうな言葉はダウンザラインくらいでしょうか。

人間性がよく描かれた作品で、蝶子の悪質ないじめ、何も気づかない幸、空回りする周りの

サポート等にやきもきしながら楽しく読めるのではないでしょうか。

でわでわ♪